| ご挨拶 − はじめに − | |||
| 音楽監督・指揮者 三澤洋史 | |||
| はじめにことわっておくが、私はバロック音楽の専門家ではない。シュッツやブクステフーデは尊敬するが、この分野だけに一生を賭けようとは思っていない。私の日常は基本的にオペラ劇場に捧げられている。 | |||
| しかしバッハだけは違う。バッハが私の生活からなくなってしまうことだけは考えられない。バッハをより良く演奏したいがために、私はバロック音楽の歌唱法や演奏法を学んだ。 | |||
| これまで名古屋や浜松でバッハのグループを率いてきた私が、なかなか東京で演奏活動をしなかったのは、バッハを演奏する度にバッハの音楽の高み、深さに気づかされ、気後れしていたせいだと思う。 | |||
| しかし時は満ちた。私の人生も半世紀を過ぎ、今東京に自分のバッハのホームグランドを立ち上げないと、もう手遅れになってしまうと思ったのだ。 | |||
| バッハの音楽にはエネルギーが溢れている。体調が悪い時でも不思議とバッハの練習をしていると体の内部から力が出てくる。落ち込んでいる時には勇気を与えてくれる。ヘンデルのような意味での「癒し系」ではないが、バッハの強烈な光による癒しの力は素晴らしい。 | |||
| 二十一世紀になってもこの地上には平和は訪れない。それどころか9.11以降、世界はますます混迷を深めている。日本の社会も病んでいる。今こそ信仰の確信に満ちたバッハの音楽の力を世界に向けて発信すべきだ。 | |||
| そんな強い願いをこめて、東京バロック・スコラーズを立ち上げた。まだ未熟かもしれないが、いずれは日本で、いや世界で最高のバッハ演奏の砦へと成長させる意志だけは持っている。 | |||
| 当サイトへお立寄り下さった皆様に、心よりお礼申し上げます。どうか私達を温かく見守って下さるようお願いいたします。 | |||
| ※2006年11月12日 ロ短調ミサ演奏会プログラムより一部編集 |